Ⅳ.放射線診断物理学

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MRIのアーチファクト

J. アーチファクト a. 種類、発生原因、低減法 (2017 37、2016 36、2015 25、2013 29、2012 24)○機械トラブルによるアーチファクト「ゴーストアーチファクト」「ラインアーチファクト」「プリアンプ故障」「傾斜磁場遮断」「ジッパーアーチファクト」など ★折り返しによるアーチファクト・被写体がFOVよりも大きい時に発生、FOVより外の組織が位相エンコード方向に折り返してしまう・対策 位相エンコード数を増やす FOV外側への飽和パルス(プリサチュレーションパルス)の印加 FOVを広げる、SENSEアルゴリズム(パラレルイメージング)法オーバサンプリングの使用、表面コイルの使用 ★データ打ち切りによるアーチファクト(トランケーションアーチファクト)・2次元フーリエ変換時に、信号強度の異なる境界に縞目状に位相エンコード方向に出現・対策:ピクセルサイズを小さくする。マトリクスサイズを大きくする位相エンコーディング数を極端に減らさない生データにフィルタをかける(SN比は向上するが,空間分解能は低下する)高空間周波数データを外挿する(非常に効果的な方法であるが特別なソ...
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X線CT装置

2. X線CT装置A. X 線CT の原理a. 投影データと画像再構成・360度再構成法:2回転分のスキャンデータを使用・180度補間再構成法:1回転分のスキャンデータを使用 b. スキャン方式○デュアルエナジー・モノクロマティックイメージ 連続したエネルギースペクトルのX線から、特定のエネルギーのみを取り出した単色X線で作った画像 高コントラストな画像の再構成や物質弁別を行うことができる ○4次元CT (2015 25):256列コンビームCTなどで超高速スキャンをする B. X 線CT 装置の構成  a. X 線発生装置b. X 線検出器、データ収集系c. ガントリ、寝台・ボウタイフィルタ:被写体透過後の「線質の平坦化」と「低エネルギーカット(被ばく低減)」が目的 C. 画像形成a. サイノグラムb. 逐次近似法 (2014 29、2012 記述)・代数的逐次近似法:実測の投影と初期画像の画素値を連立方程式で解き、これを順投影、逆投影と繰り替えし、原画像に近づけていく・統計的逐次近似法:統計学的モデルを考慮し、確率的に尤もらしい解が得られるように修正を繰り返す①x回目の画像を順投影...
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自動露出制御装置 / I.I. DSA装置

e. 自動露出制御装置 (2013 21)被写体投下後のある領域のX線を検出、その量に応じて照射条件(管電圧・管電流・照射時間)を自動制御・制御対象撮影:「照射時間」 透視:「管電流」「管電圧」X線CT:「管電流」 ・X線検出部の位置 → 検出方法により管電圧に対する写真濃度への影響が異なる1)前面検出方式:→被写体→→カセッテ(胸・腹部・骨など)フィルム透過前のX線を検出するため、X線検出部自身の自己吸収や厚みによる影響がある管電圧が低いほど写真濃度は低下★2)後面検出方式:→被写体→カセッテ→(乳房撮影) カセッテの自己吸収の影響が大きい管電圧が低いほど写真濃度は上昇 ・重要な特性1)被写体厚特性被写体厚が厚いほど撮影時間は長い・画像が暗い短時間撮影領域では悪い 2)管電圧特性 X線検出方法に影響される 管電圧が低いほどフィルム濃度に影響を与える X線検出部用の蛍光体の線質依存性は写真濃度に影響する 3)散乱線特性散乱線の含有量による影響。一般に写真濃度が低下する ★4)応答時間(照射開始からX線管への電力供給が停止するまでの時間)特性最短応答時間(X線斜断信号を出せる最短時間)と...
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X線高電圧装置

d. X線高電圧装置  (2015 21)○三相装置 → 三相電源作動装置a)6ピーク(整流器:6個)リプル百分率:13.4%6ピーク/周期結線:1次Δ2次Y b)2重6ピーク(整流器:12個)リプル百分率:13.4%6ピーク/周期結線:1次Δ2次Y-Y直列 c)12ピーク(整流器:12個)リプル百分率:3.4%12ピーク/周期結線:1次Δ2次Δ-Y直列2次巻線をY-Δに直列に接続 ・単相と3相の比較  リプル百分率:単相>3相   軟線:単相>3相  X線出力:3相>単相 ○インバータ式高電圧装置 (共振形と方形波形(非共振形))・インバータ式高電圧装置の分類変圧器形:据置形(出力30~100kW)がある電源設備からX線照射エネルギーを供給する・エネルギー蓄積形:コンデンサエネルギー蓄積形(胃部・胸部集団検診に用いる間接撮影用装置)、電池エネルギー蓄積形:移動形(出力15kW程度)がある ・インバータ式高電圧装置の特徴1,X線照射中に交流電力を直流電力に変換してから高周波交流電力に変換して、高電圧を得る2,単相電源でも3相(12ピーク形)装置と同等のX線出力を低いリプル百分率で得られ...
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X線装置と付属機器 / 乳房撮影用X線管 / 散乱X線除去用グリッド

1. X線撮影、透視装置A. X 線の性質a. X 線の発生効率 → 物理学ノート → 電子と物質との相互作用b. X 線スペクトル → 物理学ノート → 電磁波と物質との相互作用 c.減弱曲線と半価層 → 物理学ノート → 電磁波と物質との相互作用 B. X 線装置と付属機器a. X 線管の構造と特性 ○実焦点と実効焦点 (2017 32 、2014 24) (実効焦点<実焦点)・実焦点 管電圧が低い・管電流が大きい・ターゲット角度が小さい → 実焦点は大きくなる実焦点面積が大きい → 短時間許容負荷が増す(X線出力を大きくできる)     最大許容入力が大きくなる(比例の関係) ・実効焦点 実効焦点面積が小さい → 幾何学的半影(画像のボケ)を小さくできる ・ヒール効果:ターゲットからのX線強度分布がターゲット自身の吸収によって陽極側<陰極側となること ターゲット角度が大きい・撮影距離が長い → ヒール効果が小さい(利用可能な放射角度が大きい) ヒール効果が小さい → 最大照射野・有効照射野が大きくなる(利用可能な放射角度が大きくなるため) ・ビームハードニング:線質は陽極側で硬く...
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ドプラ法 / 超音波装置の構成 / ハーモニックイメージング

b. ドプラ法 (2013 25) 連続波ドプラ法パルスドプラカラーフローマッピング送受信の素子別々の素子同一の素子同一の素子送受信の方法一方的に連続的に送受信一方的に間欠的に送受信多方向に間欠的に送受信位置情報位置情報がない位置情報がある位置情報がある適した検査高速な流れの測定低流速の測定異常な流れの発見Bモードとの同時表示同時表示できない同時表示できる同時表示できる ・ドプラ法の周波数 (2014 23) θ:プローブと血流のなす角 (θ=90°でドプラ偏位周波数が0となり検出されない)    ビームに直交な流れは検出できない C. 超音波診断装置 (2017 38、2016 39、2015 27)a. プローブ b. 圧電素子,圧電定数,圧電基本式 d. 音響レンズ ★①音響レンズ:スネルの法則に従いビームを収束させる 生体と音響インピーダンスはほぼ等しく、音速は遅い物質(シリコンなど)を使用する(凸レンズになる)★②音響整合層(マッチング層):振動子と生体の音響インピーダンスの差による体表面での超音波反射を少なくし、送受信の効率をあげる★③振動子:電圧と音を相互変換する0.1~...
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超音波装置の基礎 / 画像形成

4. 超音波診断装置A. 超音波の生体特性a. 音速、波長、音響インピーダンス (2016 37 2015 27)・特徴:被曝がなく非侵襲的なので繰り返し行える    リアルタイムに観測が可能    比較的小型・安価であり、移動も可能    ドプラ法で血流の評価が可能    断層面を自由に選択できる・使用されている周波数:3.5~5MHzが多く、用途に応じて1~20MHz程度を用いる  乳房:5~10MHz  体表:7.5~10MHz  腹部5~10MHz・超音波の発生原理:「圧電効果(ピエゾ効果)」を利用し、極性を切り替えて送受信を行う  → 「圧電物質に外力が加わることで、その表面に歪みが生じて表面に正負の電気が生じること」 振動子の近傍では平面波で、遠くでは球面波となる。 ・主な組織の物理特性組織・臓器音速音響インピーダンスZ (Pa・s/m3)空気3400.0004水14801.5骨40807.8 b. 伝搬特性c. 反射、散乱 (2015 27)・屈折:音速の異なる媒質の境界で音波は屈折をする音速のみに依存する   入射角と屈折角は次式(スネルの法則)で表される   → si...
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MRI の画質特性 / 造影剤 / 安全管理

G. MRI の画質特性a. コントラスト (2017 26) 撮像法特徴高信号になるもの低信号になるものT1強調画像T1値が短いほど高信号となる「脂肪」「高蛋白」「メラニン」「常磁性体」「(亜急性期出血)」「(淡い石灰化)」「水(脳脊髄液)」「多くの病変部位」T2強調画像T2値が長いほど高信号となる「水(脳脊髄液)」「多くの病変部位」「超急性期出血」「急性期出血」「慢性期出血」「石灰化、骨皮質」「ガス」「メラニン」拡散強調画像高b値画像とADCマップの組み合わせで脳梗塞の診断をする「急性期脳梗塞」「膿瘍」「脳炎、脳症」「水(脳脊髄液)」「脂肪」「T2強調画像で低信号のもの」 b. 空間分解能  c. 信号雑音比〈SN比〉また、TRが長い、TEが短いとSN比は高くなる d. ひずみ、均一性  e. 撮像時間、画質 H. MRI の造影剤  a. 種類、特性・Gd-DTPA、Gd-EOB-DTPA :常磁性体(外部磁場と同じ方向に磁化される)を用いた造影剤・SPIO :超常磁性酸化鉄コロイド(磁化率が高く周囲にT2短縮効果を与える)を用いた造影剤I. 安全管理a. 磁性体の取り扱いb. ...
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DWI / MRS / 脂肪抑制

d. 拡散強調撮像法 (2013 24)ブラウン運動の強さを信号強度に反映基本的に異物(悪いもの)は高信号 e. MR スペクトロスコピー〈MRS〉 (2015 26)共鳴周波数の差から分子の種類や量を分析(スペクトル表示)する方法均一性が重要でシミングが必須高静磁場→化学シフトが大きい→周波数差が大きくなる→分解能が高くなるMRIで用いられる核腫と共鳴周波数核腫1H13C19F23F31P共鳴周波数42.5810.7140.1011.2617.24水と脂肪の共鳴周波数の差は約3.5PPM(1.5Tの場合220〔Hz〕÷63.8〔MHz〕×10-6=3.4ppm)水と脂肪の周波数差(1.5T):220Hz (静磁場強度に比例して大きくなる)磁場の強度が大きいほどケミカルシフトは大きい f. 機能的MRI〈fMRI〉  g. 最新技術 F. 抑制技術a. 領域抑制  b. FLAIRc. 脂肪抑制 (2017 36、2015 記述、2014 22)1.CHESS法 周波数差法 またはFat Sat法周波数選択的脂肪抑制法:事前に脂肪の信号を抑制し、脂肪と水を両方励起する周波数選択的水励起...
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MRI測定原理 / 画像形成 / MRA

3. MRI 装置<磁気共鳴画像診断装置>A. 核磁気モーメントa. 核磁気共鳴〈NMR〉b. 磁気回転比、ラーモア周波数・歳差運動 (2014 22)自転軸が時間の経過に従いその中心軸が傾き、先端が円を描くようになるような運動  歳差運動の共鳴周波数f=(γ・B0)/2π 、ω=γ・B0γ:磁気回転比  B0:静磁場の強さ:磁束密度、コイルに流れる電流に比例して大きくなる ・静磁場強度静磁場強度が大きいと「SARが増加」「磁化率・化学アーチファクトが増加」「S/N比が増加」   「T1緩和時間が長くなる」「RF磁場不均一の影響の受けやすさが増加」B. 磁気共鳴信号   a. RF パルス(2017 記述)b. FID〈自由誘導減衰〉c. 縦緩和、横緩和 C. MRI の画像形成a. スライス選択 ・スライス厚 (cm) = 送信バンド幅÷傾斜磁場強度 (2017 35、2013 29)・スライス位置:RFの周波数によって決める・撮像視野(FOV)(cm) = 受信バンド幅÷傾斜磁場強度 b. 周波数エンコード c. 位相エンコード d. リフェイズ、ディフェイズ e. k 空間 f....
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