2. X線CT装置
A. X 線CT の原理
a. 投影データと画像再構成
・360度再構成法:2回転分のスキャンデータを使用
・180度補間再構成法:1回転分のスキャンデータを使用
b. スキャン方式
○デュアルエナジー
・モノクロマティックイメージ
連続したエネルギースペクトルのX線から、特定のエネルギーのみを取り出した単色X線で作った画像
高コントラストな画像の再構成や物質弁別を行うことができる
○4次元CT (2015 25)
:256列コンビームCTなどで超高速スキャンをする
B. X 線CT 装置の構成
a. X 線発生装置
b. X 線検出器、データ収集系
c. ガントリ、寝台
・ボウタイフィルタ
:被写体透過後の「線質の平坦化」と「低エネルギーカット(被ばく低減)」が目的
C. 画像形成
a. サイノグラム
b. 逐次近似法 (2014 29、2012 記述)
・代数的逐次近似法
:実測の投影と初期画像の画素値を連立方程式で解き、これを順投影、逆投影と繰り替えし、原画像に近づけていく
・統計的逐次近似法
:統計学的モデルを考慮し、確率的に尤もらしい解が得られるように修正を繰り返す
①x回目の画像を順投影
②順投影と実測の投影の比を求める
③その比を逆投影
④逆投影した画像をx回目の画像に掛ける(x+1回目の画像となる)
⑤①に戻る
・利点 ノイズの低減による低コントラスト分解能の向上 被ばく線量の低減 CT値がより忠実になる ブルーミングアーチファクトの減少 画像フィルタが不要 |
・欠点 時間がかかる 高コントラスト物体の空間分解能の低下 従来画像との質感の変化
|
c. 単純逆投影法
d. フィルタ補正逆投影法(解析的再構成法)
e. 2 次元フーリエ変換法
f. 3 次元画像再構成処理〈Feldkamp法〉
:コーン角を考慮した再構成法
g. CT 値の定量性
臓器・組織 |
CT値 |
臓器・組織 |
CT値 |
骨(皮質) |
>250 |
灰白質 |
40 |
骨(髄質) |
130 |
白質 |
25 |
甲状腺 |
70 |
脂肪 |
-90 |
肝 |
60 |
血液(凝固) |
80 |
リンパ節 |
45 |
血液(静脈) |
55 |
筋肉・脾 |
45 |
血漿 |
27 |
膵 |
40 |
浸出液 |
>18 |
腎 |
30 |
漏出液 |
<18 |
D. 造影剤
a. 種類、特性 (医学:2017 21)
経静脈性ヨード造影剤
-eGFR60未満:検査前2日間、検査後2日の計5日間、ビグアナイド系糖尿病薬の休薬
E. 画像処理
a. ウィンドウ値、ウィンドウ幅
b. 3 次元画像処理
F. 画質特性
a. ノイズ〈雑音〉
b. コントラストスケール
c. 空間分解能
d. スライス厚
e. コントラスト分解能
○低コントラスト分解能
・影響因子 (2016 35)
X線量子ノイズ≪線質(管電圧)、管電流、撮影時間、ピッチ、コリメーション≫、再構成スライス厚、再構成法、フィルタ関数、画像処理、電気系ノイズ、光量子モトル
f. 線量、画質
G. アーチファクト (2017 34、2014 26、2013 23)
a. 種類、発生原因、低減法
○被写体に起因するもの
★ビームハードニングアーチファクト
:カッピングアーチファクトやダークバンドアーチファクト、シェーディングアーチファクト
カッピングアーチファクトの詳しい理由とその低減方法 (2016 記述)
原因:低エネルギーが多く吸収され、見かけの減弱係数が低下し、CT値が低くなる
低減方法:管電圧を高くする。金属フィルタを用いて実行エネルギーを高くする
→ 画像コントラストの低下、ノイズの増加を招く
・メタルアーチファクト
・モーションアーチファクト
・エッジグラディエント効果
○CT装置・撮影条件に起因するもの
・パーシャルボリューム効果
:対策はスライス厚を薄くする。MSCTではシングルスライスに比べ減少
・低線量時のストリークアーチファクト
・ヘリカルアーチファクト
:ピッチファクタが2を超えると影響が顕著
・ステアステップアーチファクト
:3Dで生じ、スライス厚大、ヘリカルピッチ大、再構成間隔大で、影響大
・コーンビームアーチファクト
・ウィンドミルアーチファクト
:補間再構成法が原因で、高吸収物体周囲に目立ちやすい
・ヒール効果
・ブルーミング効果
:管電流が大きくなり、X線管焦点サイズが大きくなり、空間分解能が劣化する。
・オーバースキャニング
:MSCTで、体軸方向のスキャン範囲が画像再構成範囲よりも広くなる現象
○装置の不良に起因するもの
・リングアーチファクト
:検出器からのデータが異常となった場合に、円弧状のアーチファクトが生じる。
・検出器系の不良によるストリークアーチファクト
:特定の投影データ不良
・シャワーアーチファクト
:X線管出力の異常、特定の投影データ不良
・キャリブレーションの不良によるアーチファクト
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