3. 放射計測〈ラジオメトリ〉
A. 検出効率、分解能
a. 検出効率 (2012 記述)
・固有効率
:検出器の効率 = 「計数された数」÷「入射した数」
「γ線のエネルギー」「検出器の長さ」に依存
・絶対効率
:ある一本のγ線を検出器が計測する確率(幾何学的効率)
絶対効率 =「固有効率」×「立体角」
「γ線のエネルギー」「検出器の長さ」「検出器の半径」「検出器線源間距離」に依存する
・全エネルギーピーク効率
:全エネルギーピーク効率 = 「全検出器効率」×「光電ピークの面積」÷「スペクトルの全面積」
・端窓型の幾何効率
G = Ω/4π =
*r<<dの場合 =
Ω:立体角 d:試料と検出窓の距離 r:検出半径
b. 空間分解能、時間分解能、エネルギー分解能
B. 計測器
①再結合領域
②電離領域 エネルギー測定可能
③比例領域 エネルギー測定可能
④境界領域
⑤GM領域 エネルギー測定不可
⑥連続放電領域 エネルギー測定不可
a. 電離箱
→ 2.線量計測(ドシメトリ)
b. 比例計数管(2017 66、2014 52、 2013 56)
β線、α線または、中性子の測定
・印加電圧
:比例領域
・分解時間
:数μs
・測定原理
:電子雪崩による気体増幅を利用
→ エネルギー測定が可能 (2014 52)
・PRガス
:α/β線の測定に利用する
・BF3
:中性子の測定に利用する
・ガスフロー型
:幾何学的効率が非常に高い。2π計数管が多い。
c. GM 計数管 (2017 67、2015 40、2012 53)
光子またはβ線の測定
・印加電圧
:GM領域
・分解時間
:100~400μs程度
・回復時間
:数ms程度
・測定原理
:電子雪崩による一定出力パルス(陽イオン)を測定
→ エネルギーの測定は不可能
・検出効率
:500keV以下の低エネルギー光子の検出効率は1%以下
→ 電離箱に比べるとかなり高い
β線の検出効率はほぼ100%
・消滅法
:連続放電を止める方法
1,外部消滅法:陽イオンが陰極に到達する前に印加電圧を下げる
2,内部消滅法:気体に有機気体やハロゲン気体(クエンチングガス(Qガス))を添加する方法
ハロゲン気体の場合、自発的再結合をするため、寿命が長い
3,気体を50~100mHgにする → クエンチング補正
・真の計数率 (2017 67、2015 58、2013 58 2016 記述)
回復時間:十分時間が経過し、パルス波高が最大になる時間
分解時間:電圧が波高弁別レベルを超え、パルスと認識される時間
不感時間:電離が生じても応答しない時間
真の計数率n = m /(1-τ×m) m:実際の計数 τ:分解時間[s]
τ×m:数え落としの割合 (2016 66)
d. シンチレーション検出器 (2017 68、2015 32、2013 39)
光変換効率 NaI(Tl)>CsI(Na) >CaF2(Eu)
>CsI(Tl) >6LiI(Eu) >BGO>有機
★減衰時間 プラスチック,液体シンチ<NaI(Tl)<BGO<CsI(Na)<CaF(Eu)<CsI(Tl)<6LiI(Eu)
エネルギー分解能
NaI(Tl)>BGO , CsI(Tl)
機械的強度
NaI(Tl)<BGO , CsI(Tl)
ピーク発光波長 NaI(Tl) <BGO<CsI(Tl)
密度
プラスチック< NaI(Tl)<CsI(Tl) <BGO
・CsI:Na → I.I.入力面に利用
・ZnS:Ag、CdS:Ag → I.I.出力面に利用
・BaFX:Eu2+[X:Cl、Br、I] → IPの検出器に利用
・CsI:Tl → FPDに利用、α線の検出可能
・Gd2O2S:Tb → FPDの検出器に利用
・CdWO4 → CTの検出器に利用
・LiI:Eu → 熱中性子の検出
e. 半導体検出器 (2017 68、2014 記述、2013 57、2012 59)
種類 |
★密度 (g/cm3) |
バンドギャップ (eV) ★ |
★ε (eV) |
移動速度(㎝2V-1s-1) 電子/正孔 |
用途および特徴 |
Si |
2.3 |
1.1 |
3.6 |
1350/480 |
γ線、β線 |
Ge |
5.3 |
0.6 |
2.9 |
36000/36000 |
γ線、使用時に冷却、高エネルギー分解能 |
・Si表面衝突型/イオン注入型:α線に対して高いエネルギー分解能
・Si(Li):γ線(低エネルギー) に対して高いエネルギー分解能、液体窒素で冷却する
*半導体検出器は放射線損傷がある
・ε値:電子正孔対を作るのに必要な平均エネルギー
・エネルギー依存性:半導体によってエネルギー応答が違う
・特性:エネルギー分解能はシンチレータ検出器の数倍
時間分解能は気体を利用した検出器の1000倍程度
1,価電子帯の電子が伝導帯に励起される
2,印加電圧により、電子・正孔が移動する
○n 形半導体
・キャリア:電子
・ドーパント(不純物)(ドナー)
:Siの場合Sb、P、As(いずれも15 族元素)
○p 形半導体
・キャリア:正孔
・ドーパント(不純物)(アクセプタ)
:Siの場合B、Al、Ga、I (いずれも13 族元素)
*接合面では電子と正孔の接合により、空乏領域ができる
f. サーベイメータ
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