3. MRI 装置<磁気共鳴画像診断装置>
A. 核磁気モーメント
a. 核磁気共鳴〈NMR〉
b. 磁気回転比、ラーモア周波数
・歳差運動 (2014 22)
自転軸が時間の経過に従いその中心軸が傾き、先端が円を描くようになるような運動
[ラーモアの式] 歳差運動の共鳴周波数f=(γ・B0)/2π 、ω=γ・B0
γ:磁気回転比
B0:静磁場の強さ:磁束密度[テスラ]、コイルに流れる電流に比例して大きくなる
・静磁場強度
静磁場強度が大きいと「SARが増加」「磁化率・化学アーチファクトが増加」「S/N比が増加」
「T1緩和時間が長くなる」「RF磁場不均一の影響の受けやすさが増加」
B. 磁気共鳴信号
a. RF パルス(2017 記述)
b. FID〈自由誘導減衰〉
c. 縦緩和、横緩和
C. MRI の画像形成
a. スライス選択
・スライス厚 (cm) = 送信バンド幅[Hz]÷傾斜磁場強度[Hz/cm] (2017 35、2013 29)
・スライス位置:RFの周波数によって決める
・撮像視野(FOV)(cm) = 受信バンド幅[Hz]÷傾斜磁場強度[Hz/cm]
b. 周波数エンコード c. 位相エンコード d. リフェイズ、ディフェイズ e. k 空間 f. 画像コントラスト
○撮像時間 (2014 28)
・撮像時間=TR×N×撮像加算回数÷ETL
TR:繰り返し時間 ETL:エコーの数(Echo train length) → SE法のときのみ
N:位相エンコード数 撮像加算回数:信号雑音比を上げるため同信号を取り出す回数
D. MRI 装置
a. 超電導磁石、永久磁石
b. 傾斜磁場コイル
c. 送信コイル、受信コイル
d. シミング e. シールド
E. 撮像法
a. 基本的パルスシーケンス
b. MRハイドログラフィ
c. MRアンジオグラフィ〈MRA〉 (2014 記述)
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利点 |
欠点 |
TOF法 (GRE法) |
・静磁場への均一性への依存度が低い ・傾斜磁場の直線性への依存度が低い ・画像再構成時間が短い ・PC法よりもS/N比が高い |
・T1が短い組織を高信号に描出 ・断面(FOV)に平行な流れは描出困難 ・過流と乱流によって血管内の信号は低下する。 特に冠状断ではインフロー効果が得にくい。 |
PC法 |
・流速と方向の定量化が可能 ・特定の流速を強調できる ・断面(FOV)に平行な流れに鋭敏 |
・静磁場の均一性への依存度が高い ・傾斜磁場の直線性への依存度が高い ・患者の動きに影響されやすい ・TOF法より検査時間が長い ・画像化するための煩雑性 ・過流と乱流によって血管内の信号は低下する。 |
造影法 |
・撮像時間が短い ・高コントラスト |
・流速や方向の情報が得られない ・造影剤が必要 |
閉塞部、狭窄部はより低信号(flow gap)、磁化率効果で低信号
○タイムオブフライト(TOF:time of
flight)法
GRE法を用いて流入(インフロー)効果を利用
TRごとにαパルスを与えて、新しくその部分に入る血液は、縦磁化はずっと回復した状態と同じとみなせるので、これを短いTRにて画像化し、血管だけを強調する
血管以外のTl値が短い物質ほど描出される
得られた画像は,MIP処理され三次元的に観察される
・2D-TOF法:頸部や腹部,下肢血管など,広い範囲の撮像に利用される
薄いスライス厚で撮像し,静脈などの比較的遅い血流の信号も描出できる
スライス面に対し垂直に流入する血流ほど高信号となり,平行に走る血管は低信号となる
動脈のみ描出する場合,撮像前に静脈の流入側に飽和パルス(プリサチュレーションパルス)を与える。
3Dにくらべスライス枚数を増やせる
・3D-TOF法:3DFT-GREを利用している
2D-TOF法に比べてスライス方向の分解能が向上しS/N比も向上する
静脈など遅い血流は描出困難となる
○フェーズコントラスト(PC:phase contrast)法
血流では位相のずれが生じ、傾斜磁場により位相情報を血流の流れとして描出できる
双極傾斜磁場を用いる
位相差の大きさが流れの速度に比例する
得られるもの:血流速度を反映した画像や血流方向の情報
・2D-PC法:短時間で撮像でき,厚いスライス厚により血管の概観像が得られる
・3D-PC法:S/N比が高く,広範囲にて複雑な血管走行を描出でき,多方向からの観察も可能である
スライス方向の制限がない。信号強度から流速を推測できる
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