4. 超音波診断装置
A. 超音波の生体特性
a. 音速、波長、音響インピーダンス (2016 37 2015 27)
・特徴:被曝がなく非侵襲的なので繰り返し行える
リアルタイムに観測が可能
比較的小型・安価であり、移動も可能
ドプラ法で血流の評価が可能
断層面を自由に選択できる
・使用されている周波数
:3.5~5MHzが多く、用途に応じて1~20MHz程度を用いる
乳房:5~10MHz 体表:7.5~10MHz 腹部5~10MHz
・超音波の発生原理
:「圧電効果(ピエゾ効果)」を利用し、極性を切り替えて送受信を行う
→ 「圧電物質に外力が加わることで、その表面に歪みが生じて表面に正負の電気が生じること」
振動子の近傍では平面波で、遠くでは球面波となる。
・主な組織の物理特性
組織・臓器 |
音速[m/s] |
音響インピーダンスZ (Pa・s/m3) |
空気 |
340 |
0.0004 |
水 |
1480 |
1.5 |
骨 |
4080 |
7.8 |
b. 伝搬特性
c. 反射、散乱 (2015 27)
・屈折
:音速の異なる媒質の境界で音波は屈折をする
音速のみに依存する
入射角と屈折角は次式(スネルの法則)で表される
→ sinθ1÷C1 = sinθ2÷C2
・干渉
:複数の波が出会って、互いに影響し合って振幅や位相が変化すること
・回析
:進行方向に障害物がある場合、その陰となる部分に回り込む現象
障害物に対して波長が大きい
→ 多く回り込む
・反射 (2013 06)
:音波は音響インピーダンスの異なる境界の一部で反射する。
音響インピーダンスZ=ρ×C
ρ:媒質の密度 C:媒質固有の媒質中の音速
反射率R(1から2へ)=(Z2-Z1)÷(Z2+Z1)
d. 減衰 (2015 27、2014 10)
音波の振動の強さが媒質中で、吸収・散乱・反射によって減衰する
距離が遠いほど、周波数が高いほど減衰する
周波数の減衰[dB]=μ×z×f
μ:減弱係数 z:通過距離 f:周波数
B. 超音波の画像形成
○超音波の分解能 (2017 39 、2016 39 2015 28、2013 30)
・空間分解能:一般的に分解能は①>②である。
★①距離分解能
:ビーム方向に並んだ2点の反射エコーの識別可能な最小距離
パルス幅が短い・周波数が高い→高距離分解能
★②方位分解能
:ビームと直角方向に並んだ2点の反射エコーの識別可能な最小距離、焦点域で高分解能
方位分解能=1.22×λ÷D
λ:波長 D:振動子の直径
振動子の直径が大きい(ビームが細い)・周波数が高い
→ 高方位分解能
③スライス方向分解能
:プローブの周波数に依存する
*ダイナミックフォーカス:方位・距離分解能が上昇する
・コントラスト分解能
:組織間の輝度差の分解能
・時間分解能
:フレームレートによる評価
a. 表示モード
○A(Amplitude)モード
:反射エコーの強さをグラフ状に表したもの
縦軸に時間(=深さ)、横軸に反射強度をとる
○M(Motion)モード
:反射エコーの強さの変化を輝度変調し、画面に表示する
Bモードと違いプローブの移動を行わずに行う
動いているもの(心筋、弁など)の変化のパターンを知ることができる
○B(Brightness)モード
:反射エコーの強さの変化を明るさ(輝度)の変化にして表示する
反射エコーが得られた位置(=深さ)にのみ輝点を表示する
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