F. 線量と線量分布評価
a. 微分型DVH、積分型DVH
・Dose Volume Histogram(DVH)
(2017 51 、2015 44、2013 43、2012 記述)
ある体積(PTV,ORなど)に対する線量を横軸として体積の関係を表したグラフ
PTV内の線量と体積を把握する
→ PTV内の線量均等度を見る
正常組織の線量と体積を把握する
→ OARの線量と体積を把握する
→ Vx:x=20などで、ある組織で20Gy以上与える体積の割合
(リスク臓器などに使用)
→ Dx:x=95などで、体積のx%をカバーする線量
微分型DVHにおいて、線量を高い方から累積させたものが積分型DVH
b. 線量指標、体積指標
・Homogeneity Index(HI)
(2015 44)
ある標的体積(CTVやPTV)内の線量均一性を表す指標
HI=MaximumDose/MinimumDose
HI≒1で均一性が良いとされる
・Conformity Index (CI)
(2012 50)
治療に必要な線量領域が腫瘍の体積(PTV等)に一致しているかの指標
CI=TV/PTV
CI≒1で、腫瘍に対して必要な線量を与え,かつ,正常組織の線量を抑えることができる
○処方方法による線量プロファイルの違い
(D95%=100%を目指すとした場合)
・ISO処方(点処方)
:ISOのみでD95%=100%となるので線量が低く、線量勾配が小さい
・PTV処方(体積処方)
:一部過線量となる場合もあるが、PTV全体でD95%=100%となり、
線量勾配は中程度
・マージンゼロ
:散乱線の寄与が小さくなり、線量が大きくなる
c. 線量制約、耐容線量 d. NSD e. TDF
f.TCP,NTCP[生物学的評価関数,不等制約条件,EUD]
(2017 51、2016 57、2014 記述、2012 記述)
○生物学的評価関数(臓器の物理形状に依存しない評価関数)
・等価均一線量 (EUD :Equivalent Uniform Dose)
不均一な線量分布がある体積に入った場合、それと同じ生物影響を均一な線量分布で与える線量
微分型DVHの和であり、DVHの線量で調整する
・腫瘍制御確率 (TCP:Tumor Control Probability)
LQモデルを使って標的に照射した吸収線量から照射後の細胞数を計算して腫瘍制御確率を計算する
理想として、重要臓器(OAR)のEUD(NTCP)最小値は0とし、TCP最大値は1
線量分布に基づいて導出され、シグモイド曲線に近似される
・問題点
「L Qモデル」「線量の均一性」「酸素効果」が誤差となる
寡分割照射では通常分割より小さい
・正常組織障害発生確率(NTCP:Normal tissue complication probability )
TCPの正常組織に関する確率
DVHの体積を調整する
Layman-kutcher-burmanモデルに基づく
正常臓器の機能的不均一性は考慮されていないため、注意が必要
○分割照射における生物学的等価量
(2017 56、2016 47、2015 47、2014 47、2013 46、2012 48 63)
・LQモデル
S/S0=exp(-αD‐βD2)
早期反応(腫瘍)のα/β=10Gy
晩期反応のα/β=3Gy
生物学的等価量 BED(E/α) = D×(1+d/(α/β))
d:分割線量 D:総線量
・分割照射
正常細胞の回復を狙う
・多分割照射法
間隔は6時間以上開ける
正常組織の晩期反応組織の耐容線量は増加、急性期反応組織の耐用線量は減少
利点:「晩発障害の減少」「腫瘍抑制の向上」
欠点:「急性障害の増加」
・寡分割照射
通常照射の線量を増やして総期間を減少させる
多分割照射の反対
○治療可能比(TR)
(医:2015 51、2013 66)
治療可能比(TR)=腫瘍組織の障害/正常組織の障害
=正常組織の耐容線量(TD)/腫瘍制御線量(TCD)
G. 患者固定
a. 固定具 b. 固定法 c. 線量への影響
H. 位置照合
a. X 線透視 b. 2D kV/MV 画像 c. コーンビーム CT〈kV/MV CT〉 d. 超音波画像
e. 画像誘導放射線治療
(2013 49)
・IGRT
毎回の照射時に治療計画時と照射時の照射中心位置の三次元的な空間的再現性が5mm以内であることを照射室内で画像的に確認・記録して照射する治療のこと
・照射前のIGRT
Inter fractional errorの補正
(呼吸移動などのIntra fractional errorは補正されない)
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