D. PET(PET/CT)装置
a. 消滅放射線の同時計数
真の同時計数:一対の消滅光子が二つの検出器によって検出されたイベント
b. 散乱同時計数 (2017 44、2015 34、2012 記述)
散乱同時計数-相互作用によってガンマ線が曲げられたことによって同時計数
画像の定量性低下やコントラスト低下などの原因となる
エネルギーウィンドウ幅(通常350~650keV)に依存する
・補正法:「DEW法」
「TEW法」
「コンボリューション法」
「シミュレーション法」
c. 偶発同時計数 (2017 44、2015 34、2012 記述)
関連性がない二つの消滅光子が同時に計測されたイベント
画像の定量性低下や統計雑音の増加をもたらす
タイムウィンドウ幅(通常6~25ns)に依存する(通常15ns)
数え落としが無いとすると計数率は放射能(濃度)の二乗に比例する
・補正法:「遅延同時計数回路法」
「シングル計数法」
PETにおけるSN比の指標
T:真の同時計数 S:散乱同時計数 k:視野占有率 R偶発同時計数
d. 陽電子の飛程と消滅放射線の角度揺動
:平均して0.5°程度揺動する(100cmで2.5mmの誤差)
e. 2D および3D モード収集 (2012 35)
○PET装置の測定原理(2012 記述)
:同時計数を行って、同時計数線(LOR)上に存在する核種の検出を行う。
・エネルギーウィンドウ:PET装置では少しに幅をもたせ、350keV~650keV程度に設定する。
・LOR:同時計測での検出単位になり、サイノグラムのひとつのピクセルに対応する。
・特徴:「実測した透過率データを吸収補正に用いる」
「光の減衰時間が短い検出器は最大計数率が高い」
「同時計数回路を用いるとコリメータは不要」
「同時計数回路の分解時間:6~25ns」
「1個の光電子増倍管に複数のシンチレータを対応させる」
・計数率特性:機器の不感時間に大きく依存
・空間分解能(半値幅):線源–検出器間距離に依存しない、検出器サイズに依存する
○DOI(Dose-of-Interaction)検出器 (2016 44、2013 34)
検出器を積み重ねて、深さ方向の位置の弁別も可能にした
視野全域(断層面と体軸方向)について同時計数線(LOR)の幅が小さく、均等になる
感度、空間分解能が改善する
○検出器-2つが対向している
・検出ブロック
:シンチレータと複数の光電子増倍管(PMT)から構成される
複数のシンチレータを1個のPMTに対応させる
検出器が小さい → 分解能が高い
・シンチレータ
:BGO,LSO,GSO,NaIなどやこれらを組み合わせたものを使用している
溝によって分割されており、この大きさがPETの空間分解能を決定する大きな因子となる
「リング径が小さい」→「計数率が高い」→「感度が高い」
・2D収集 (2012 35)
セプタ(体軸方向にのみ有効なコリメータ)の使用で離れたリング間での同時計測線に制限を設ける
感度が低く、定量性は高くなる。散乱線成分比率は10~20%程度である
・3D収集 ――― 最近良く利用される
セプタを使用せず、感度は高くなるが、視野外放射能や散乱・偶発同時計数の影響が大きくなる
画像の再構成も複雑で長時間となる
体軸方向の辺縁部で感度は低下する
散乱線成分比率は30~50%程度であり、より高精度な散乱補正法が必要とされる
f. TOF (2018 32)
○SPECTとPETの比較 (2016 44)
性能 |
SPECT |
PET |
定量性 |
良 |
優 |
感度 |
良 |
優 |
空間分解能 |
低い(15~20mm) |
高い(3~5mm) |
吸収補正 |
やや難(Sorenson,Chang,CT法など) |
容易(ブランクスキャン&トランスミッションスキャン) |
2核種同時収集 |
可能 |
不可能(511keV一定) |
検査室の遮蔽 |
容易(低いガンマ線のエネルギー) |
困難(高い消滅放射線エネルギー) |
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