電子リニアック
(2014 46)
直線型加速管により電子を加速する
X線, 電子線の治療に用いられる
出力エネルギーは断続的
・エネルギーの調整
:「マイクロ波電力」
「加速される電流」
・ビーム出力の調整
:「先頭値」
「パルス幅」
「パルス繰り返し数(主にこれで調整)」
リニアックヘッド内部構造
(2017、2016 51、2014 47)
1.電子銃
加速管に電子を数十kVで加速して供給する
*以下出力の調整
・二極管
:出力制御を加速管に入射する電子を機械的なスリットで調整する方式
・三極管
:出力制御をグリッド電圧の調整でビーム電流を細かく調整する方式
2.高周波発信器(マイクロ波発振管)
・マグネトロン(自励発振管)
:安価, 単寿命, 安定性悪、10MeV以下の小型直線加速器に用いる
・クライストロン(増幅器)
:高価, 長寿命, 安定性良、10MeV以上の大型直線加速器に用いる
発振周波数は3,000MHz程度である
・マイクロ波の経路
高周波発信機
↓
導波管 (絶縁ガス(SF6など)が封入)
↓
加速管
3.加速管
銅によって作られ、電子銃から放出された電子をマイクロ波で加速し、一定の出力を持つ
内部は真空になっており、加速管の長さによって周波数帯域が変化する
・定在波型
:現在の主流、真空度が大切、長さは短い
・進行波型
:低エネルギーの装置に用いられている場合がある
*タンデム加速器
:加速管の中央で負イオンを正イオンにしてさらに加速させる
4.偏向磁石(ベンディングマグネット)
電子線を磁石で270℃偏向させ,ビームを下向きに、エネルギーを均一にする
磁場は一定ではない
7.フラットニング・フィルタ (平坦化フィルタ)
(2014 46)
鉛製で、ターゲットを出てきた細い線束のX線を広げる
また, 照射野内の線量強度を均一にする働きもある
*FFF(フラットニングフィルターフリー)
・高線量率で照射が可能になる
・線質の軟化
→ ビームハードニングが少ない + 表面線量が大きい(Dmaxが浅い)
・散乱線が少ない
→ OPFが小さい + コリメータ反転効果が大きい
・平坦度が悪い(照射野が小さいと影響が大きい)
7.スキャッタリング・フォイル(散乱箔)
電子線照射の場合, 線束を広げるための薄い金属泊
高エネルギー(10MeV以上)では高原子番号の薄い金属泊と低原子番号の薄い金属泊を使う
8.モニタ線量計
透過型平行平板型電離箱
照射線量の制御
対称性のずれの管理
9.MLC(Multi Leaf Collimator)
(2014 50)
不整形な照射野を作るため、短冊状に区切られたコリメータ片によりなるコリメータ機構
・MLCの形状
①double focused type
:リーフ端と側面の2 面がビーム線錘に対して平行に接するような形状をしている
円弧状の軌道で動く
②single focused type
:リーフ側面の1 面のみがビーム線錘に対して平行となっている
MLC がリニアックのガントリヘッド内を直線軌道で動く
半影サイズが照射野中心からの距離に依存しないようにリーフ端が円弧状となっている(rounded end leaf)
・MLC からの透過線量
①intraleaf (mid-leaf) transmission
:リーフ自体を透過する放射線
②interleaf transmission
:隣接するリーフ間を透過する放射線
③leaf end transmission
:リーフ先端部分を透過する放射線
④tongue & groove 効果
:入れ子構造MLCで、凸状リーフ側面を線束が通過する際に一部が遮へいされるために線量が低下する現象
①②はフィルムや線量計を用いて,オープン照射野に対する線量比として評価する
③は光照射野とX 線照射野との間に相違を生じる原因となり、線量測定は複数の方法で評価する
*leaf offset:光照射野と放射線照射野のずれのこと
○パルス変調回路
・構成
:直流高圧電源、サイラトロン、パルストランス、PFN、充電チョーク、DeQing回路
・サイラトロン
:PFN 回路に蓄電した電流を放出させ、マイクロ波発振管に供給するためのスイッチ
この放出タイミングの間隔がビームパルスの間隔となる
○ウェッジ
(2012 42)
・ウェッジ角度
:水ファントムの深度 10 cm におけるウェッジビームの等線量線とビームの中心軸に対する法線とで形成される角度
f. シンクロトロン
大型装置(HIMACやSpring8)で重粒子線の加速に適している
・直線加速器などで数10MeVに加速した粒子を入射させる
・コイルに直流電流を流して直流磁場(一定ではない)を発生させる
・偏向電磁石で磁束密度を増大させて粒子の軌道半径を一定に保つ
・電極部(加速空洞)のみで加速される(加速エネルギーは可変)
g. サイクロトロン
(2017 記述)
ディー(dee)電極の間に高周波電圧をかけて荷電粒子(主に陽子)を加速する
・直流磁場(強度一定)により円運動を行い、回転軌道半径は増大する
・高周波電圧の周波数により半周ごとに極性が変わり加速される
・周波数は変わらない
・陽子や重荷電粒子の加速に適する
*サイクロトロンに関する物理式
・ローレンツ力(電荷q×磁束密度B×速度v)= 遠心力(質量m×速度v2÷回転半径r)
回転半径rを一定に保ちつつ、磁束密度を変化させて、速度を上げる
・サイクロトロン周波数fc=(e×B)÷(2πm)
→ 2.重荷電粒子線 / 中性子線 へ
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